ドキュメンタリー映画「AA」〜音楽批評家・間章 この映画について

12人の語り部たちによる、不在の人物を巡る7時間30分の旅

INTRODUCTION
音楽界に大きな影響を与え、32歳でこの世を去った音楽批評家・間章(Aida Aquirax)は、フリー・ジャズ、プログレッシヴ・ロックなどを積極的に日本に紹介し、ミュージシャンと協働して新しい音楽に挑戦していった。
そんな間章の批評とは、運動とは何だったのか。間章が駆け抜けた70年代とは何だったのか。
本作品は、演出の傍ら執筆活動もする映画監督・青山真治が、撮影開始から約5年の歳月をかけて完成させた全6章からなる長編ドキュメンタリー。3時間半にわたる映画『ユリイカ』で世界を熱狂させた青山真治が7時間半かけて描いた世界とは? 中学生のころに決定的な影響を受けた間章の、文学的かつ哲学的な音楽批評の軌跡と彼が生きた時代とを、ゆかりのあるミュージシャン、批評家の証言によって映像化を試みた野心作。

第1章 時代の未明から 54分
第2章 反復する未明 77分
第3章 非時と廃墟そして鏡 81分
第4章 僕はランチにでかける 77分
第5章 この旅には終わりはない 79分
第6章 来たるべきものへ 75分

2005年/カラー/日本/443分/Digital BETACAM/ステレオ


[出演(50音順)]
大友良英、亀田幸典、近藤等則、佐々木敦、清水俊彦、副島輝人、高橋巖、竹田賢一、灰野敬二、平井玄、本間亮、湯浅学

[インタビュー]
大里俊晴

[監督]
青山真治

[製作・配給]
ユーロスペース >>>>>

[制作協力]
映画美学校(NPO) >>>>>

[宣伝]
boid >>>>>


間章は、一九四六年八月十八日、新潟に生まれた。
中上健次の十六日後である。

一九七八年十二月十二日、逝去。
小津安二郎の亡くなった十五年後である。

中上と小津との奇妙な符合に見入られたようなこの夭折(享年三十二歳)の批評家によって開かれたジャズの、ロックの、そして七〇年代文化の意味について、彼がその存在を刻印した場所を彷徨い、その思考の軌跡を追う試みとして、この作品は作られる。
だがそれは啓蒙とは似て非なるものとなるだろう。
間章を現代に甦らせるとは、それが今もなお影響を与えうる〈非時〉の思考であり、にもかかわらず、忘却の彼方に安置されたその思考に再度照明することは、同時に我々の生きる時代に幾度となく刺激を与え、認識の更新を続けることに他ならないのではないか。
この作品は、間章の思考の道程を紹介するものであると同時に、〈間章〉的なるものとは何か、〈非時〉の思考とは何か、そのエッセンスを映像化する試みでもある。

・・・・・・・青山真治

[AA](c)2005 ユーロスペース